焼きとその技法2
備前焼の「焼き」のお話、今回は備前焼作家松井浩之の特色ある焼きについてご紹介したいと思います。
黒襷(くろだすき)
グレーがかった肌に黒いキリっとしたラインが走っています。
このラインは作品に巻き付けた藁の燃え跡。
前回紹介した緋襷と製法がよく似ています。
どちらも作品に藁を巻き付けて焼いていますが、黒襷の方は酸素を少なくし燻すように焼きます。
藁を巻き付けた部分は酸素を多くして焼けばオレンジに近い色に、少なくして焼けば黒色に発色します。
この藁のライン、緋襷に比べかなりつけるのが難しいといいます。
ラインがつく前に藁が燃え尽きて落ちてしまうからです。
なので作家は藁の巻き方や温度調整の工夫をし、なんとかきれいな黒いラインを出せるようになってきたそうです。
従来の備前の色とは一味違う無機質な色味で、モダンな雰囲気を楽しむことができます。
藍彩(あいさい)
一見備前焼とは思えない、深いコバルトブルーの色が非常に美しい焼きです。
この色は、土に顔料を混ぜ込んで焼き発色させたもの。
備前の窯で焼くことで、温度の違いによって色が淡い部分、深い部分ができたりと、同じコバルトブルーの焼きでも様々な色合いを楽しむことができます。
備前焼本来の味を生かしつつ、今までとは全く違う色を掛け合わせた斬新な焼きです。
練上(ねりあげ)
マーブルの模様が、かわいらしくオシャレな雰囲気を演出しています。
このマーブル模様は備前の土と磁器系の白い土を練り混ぜ、ろくろでひくことで現れます。
焼成前はこんな感じ。
こちらも温度、火の当たり方の違いによって、白っぽい部分、オレンジが深い部分など変化が現れます。
模様の出方も様々です。
人気はカップ類。
「和」のイメージが強い備前焼ですが、洋食器にもこの練り上げはぴったりです。
以上3つが、備前焼作家松井浩之の特色ある「焼き」です。
「備前焼の中に受け継がれている伝統美を大切にしつつ、現代の生活も溶け込む作品」
というのが作陶のコンセプトです。少しでもお伝え出来たらと思います。
次回は!
・・・まだ何を書こうか決めていませんが
窯焚き始まったのでそのお話とかですかね
とにかくこの時期作家(父)は毎日割木運びやら力仕事が多く、
ロキソニンテープ貼り貼り頑張っています。
作家という職業も体力勝負です。
ではこの辺で!