焼きとその技法
今回は備前焼最大の特色「焼き」について書いていきたいと思います。
前回少し書きましたが、備前焼は釉薬を使わず素焼きのような状態で焼くので、基本的な焼き色は土を焼いたそのままの色で、赤みを帯びた茶色です。
ただし、松割木を燃料とした窯で14日間窯焚きをするため、火の当たり方の違いや、温度の変化によって、同じ窯で焼いてもそれぞれに違う焼きが出てきます。
同じ形のものでも一つとして同じ焼きのものはないということです。
ここが面白いところで、皆さんいろいろと選びながら自分の好きな色合いを探していくわけです。
また、釉薬を使わないからこそ、作家たちは様々な工夫を重ね、焼き色の変化をつける技法を生み出してきました。
まずは代表的な技法を紹介していきたいと思います。
緋襷(ひだすき)
ベージュの肌に緋色のラインの組み合わせが美しい焼きです。
この緋色のラインは作品に藁を巻き付けて焼くことで、藁の燃え跡がついたものです。
桟切(さんぎり)
焼成終了と同時に木炭を入れて還元状態を作り、部分的に白や灰色の景色をつける焼き方です。
窯変(ようへん)
窯の床で作品が灰に埋もれることによって、酸素の通りが悪くなり、燻される様に焼かれることで、青色や灰色、鼠色に発色します。
写真の花入れは、床に転がす際、クッションとして耐火度の高い土を置くことで、その跡が鮮やかな緋色に発色しています。
酸素の通り具合により、発色が様々に異なるため、一つの作品の中にたくさんの景色がが楽しめる焼きです。
胡麻(ごま)
燃料である松の灰が、窯の中で自然に作品に降りかかることで、黄色い胡麻のような色となって現れます。
写真の作品は、付着した灰がさらに高温にさらされて溶けて流れるような模様を描いています。
作品によって胡麻の流れ方がそれぞれに違い、その美しさが楽しめます。
そのほかいろいろな焼きがありますが、代表的なものはこの4つです。
自分のお気に入りの焼きを見つけたり、いろいろな焼きの作品を集めたりすることで楽しみが広がるのではないかなと思います。
次回は、焼きについてもう少し。
父オリジナルの技法についても紹介していきたいと思います!